近年、健康志向の高まりとともに注目を集めているCBD(カンナビジオール)。
リラックス効果や睡眠の質の向上が期待できるとして、オイルやグミ、化粧品など様々な製品が市場に登場しています。
しかし、「大麻由来の成分」という言葉を聞いて、「本当に合法なの?」「使っても大丈夫?」と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、日本におけるCBDの法的位置づけから、2024年の法改正による変更点、安全な製品の選び方まで、最新情報を分かりやすく解説します。
CBDとは?THCとの決定的な違い
CBDは大麻草に含まれる100種類以上のカンナビノイド成分の一つです。
ここで重要なのが、同じ大麻草由来でも「CBD」と「THC(テトラヒドロカンナビノール)」は全く異なる成分であるという点です。
THCの特徴:
- いわゆる「ハイになる」精神作用がある
- 依存性や中枢神経への影響がある
- 日本では厳格に規制されている違法成分
CBDの特徴:
- 精神作用(ハイになる効果)はない
- 依存性や乱用のリスクが極めて低い
- WHO(世界保健機関)が安全性を認めている
CBDには依存性や乱用のリスクが極めて低く、安全性が高いとされており、世界各国で医療や健康用途への応用が進んでいます。
日本でCBDは合法です
結論から言えば、CBDは日本で合法的に使用・購入が可能です。
ただし、合法となるには明確な条件があります。
2024年12月の法改正による変更点
2024年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」が施行されました。
この改正により、CBD製品の規制方法が大きく変わりました。
改正前(2023年12月まで):
- 大麻草の茎や種子から抽出されたものであること
- 花穂や葉からの抽出は違法
改正後(2024年12月以降):
- 抽出部位に関わらず、THC含有量が基準値以下であれば合法
- 製品タイプによってTHC残留基準が異なる
つまり、従来の「部位規制」から「成分規制」へと変更されたのです。
この変更により、抽出元の部位ではなく、製品中のTHC含有量が合法性の判断基準となりました。
製品タイプ別のTHC基準値
2024年の法改正により、CBD製品のタイプによって異なるTHC残留基準が設定されました。
油脂タイプ・粉末タイプ:
- CBDオイル、カプセル、パウダーなど
- THC含有量が10ppm以下であること
水溶タイプ:
- CBDドリンク、化粧水など
- THC含有量が0.1ppm以下であること
その他のタイプ:
- CBDグミ、ベイプリキッド、バーム、クリームなど
- THC含有量が1ppm以下であること
実際には、多くの信頼できるメーカーはさらに厳しい基準を設けており、THCが検出限界(0.001%未満)以下の製品を提供しています。
CBD市場の現状と今後の展望
日本のCBD市場は着実に成長を続けています。
2024年の日本の合法CBD市場は前年比16.2%増の244億円に達すると予測されており、約53万人の利用者がいると推定されています。
法改正により一時的に企業が慎重な姿勢を見せたものの、2025年以降はTHC残留限度値や流通・販売ガイドラインが明確になることで、再び成長が期待されています。
安全なCBD製品を選ぶための5つのポイント
合法的かつ安全にCBDを利用するためには、製品選びが非常に重要です。
以下のポイントを確認しましょう。
第三者機関による成分検査の有無
信頼できるメーカーは、研究所や大学などの第三者機関による成分検査を実施しています。
検査では以下の点が確認されます。
- THCなどの違法物質が含まれていないか
- 農薬などの危険物質が混入していないか
- 表記通りの成分が含まれているか
厚生労働省が推奨する検査機関で検査されている製品を選ぶことが望ましいです。
製造元と製造方法の透明性
- 製造元の情報が明確に記載されている
- 製造工程が公開されている
- 原料の産地が明示されている
SNSやフリマアプリで販売されている、出所不明の製品は避けるべきです。
個人製造の粗悪品には、違法成分が含まれているリスクがあります。
日本の基準に適合した製品か
- 大麻取締法、麻薬取締法に違反していない
- 輸入許可、通関の許可を経て取り扱われている
- 日本向けに適切に調整された製品である
問い合わせ対応と成分表記の誠実さ
- 成分表記が詳細で明確
- 問い合わせへの対応が迅速かつ誠実
- 成分検査の結果を公開している
信頼できるブランドを選ぶ
実績のあるメーカーや、専門家が関与している製品を選ぶことで、安全性が高まります。
薬剤師監修の製品や、医療業界との連携があるブランドは信頼性の指標となります。
CBD製品の種類と使い方
日本で流通しているCBD製品には様々なタイプがあり、用途や好みに応じて選ぶことができます。
CBDオイル
最も一般的な形態で、舌下に垂らして使用します。
吸収が早く、効果を実感しやすいのが特徴です。
CBDグミ
手軽に摂取でき、味も楽しめます。持ち運びやすく、外出先でも利用しやすい形態です。
CBDベイプ(電子タバコ)
吸引タイプで、最も早く効果を感じられます。
ただし、呼吸器への影響を考慮する必要があります。
CBD化粧品
クリーム、バーム、化粧水など、皮膚から吸収されるタイプです。
局所的な使用に適しています。
CBDカプセル
味が気にならず、決まった量を摂取しやすいのが利点です。
よくある疑問と誤解
Q: CBDを使用すると「ハイ」になりますか?
A: いいえ、CBDには精神作用がないため、「ハイ」になることはありません。
これはTHCの作用です。
Q: CBDは医薬品ですか?
A: 日本では、CBD製品は健康食品および栄養補助食品に分類されており、医薬品ではありません。
そのため、処方箋は不要です。
ただし、大麻由来のてんかん治療薬など、一部の医療用CBD製品は医薬品として承認されています。
Q: 海外からCBD製品を持ち込めますか?
A: 可能ですが、THC含有量が日本の基準を満たしている必要があります。
また、個人輸入で持ち込める数量には制限があり、24個を超える場合は「薬監証明」が必要です。
Q: 海外でもCBDは合法ですか?
A: 国によって規制が異なります。
香港などではCBD製品の所持・消費が違法とされ、厳しい罰則があります。
海外へCBD製品を持ち出す場合は、渡航先の法律を事前に確認することが重要です。
違法となるケースと注意点
以下のような場合、CBDであっても違法となる可能性があります。
違法となるケース:
- THCが基準値を超えて含まれている製品
- 大麻草の花穂や葉から抽出されたと明記されている製品(改正前の規制が適用される場合)
- 海外で合法でも日本の基準を満たしていない製品
- 成分表示が不明確な製品
このような製品を使用・所持していた場合、違法大麻の所持として逮捕される可能性があります。
まとめ:正しい知識で安全にCBDを活用しよう
CBDは日本で合法的に使用できる成分であり、適切な製品を選べば安全に健康維持に役立てることができます。
重要なポイント:
- CBD自体は合法だが、THC含有量が基準値以下であることが必須
- 2024年の法改正で「部位規制」から「成分規制」へ変更
- 第三者機関の検査済み製品を選ぶ
- 信頼できるメーカーから購入する
- 成分表記が明確で、問い合わせ対応がしっかりしている製品を選ぶ
法律や規制は変化していくため、常に最新情報を確認することが大切です。
厚生労働省のウェブサイトなど、公式な情報源を参照し、責任を持ってCBD製品を利用しましょう。
正しい知識を持って、安全に、そして効果的にCBDを生活に取り入れることで、より健康的なライフスタイルを実現できるはずです。

